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乳がん治療を受ける女性の心臓障害を避ける方法

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乳がんを患う女性における、抗がん治療による心臓障害を軽減するための行動的・心理的介入を検討する臨床試験が開始される予定である。

革新的なCARDIOCAREプロジェクトは、欧州心臓病学会(ESC)を含む欧州のパートナーのコンソーシアムによって実施されている。

プロジェクトの最新情報は、ESC Congress中にESC TVステージで議論され、さらに詳しい情報をExchangeエリアとLoungeエリアで提供する。

「心血管疾患は、肉体的および精神的健康に影響を与える抗がん治療の重篤な合併症である」と、プロジェクトコーディネーターであるギリシアUniversity of IoanninaのDimitrios I Fotiadis教授は述べた。

「CARDIOCAREは、65歳を超える乳がん女性患者に、身体の健康を改善し、病気に対して心理的に適応するための手段を提供する。」

乳がんはEUで最も発生頻度の高いがんであり、2020年の新規がん症例全体の13.3%を占めている。

EUでは11人に1人の女性が74歳までに乳がんを発症すると推定されている。

EUの資金提供による5年間のCARDIOCAREプロジェクトは、乳がんの高齢女性の管理を根本的に変えることを目的としている。

本プロジェクトは、欧州7ヵ国(ギリシア、イタリア、キプロス、スロベニア、スウェーデン、オランダ、フランス)の心臓専門医、腫瘍専門医、心理学者、分子生物学者、バイオインフォマティシャン、コンピューター科学者、生物医学エンジニアの専門知識を活用し、これらの患者が受けるモニタリング、治療とケアを改善するものである。

欧州の6つの臨床センターで、乳がん患者750例を対象に、行動的・心理的介入がQOL、身体的・精神的健康、乳がん治療の心毒性に及ぼす影響を評価する臨床試験が実施される。

試験の全参加者はCARDIOCAREモバイルアプリを受け取る。

参加者は、ePsycHeartとeHealtHeartの両方を組み込んだアプリを受け取るグループと、ePsycHeartのみを組み込んだアプリを受け取るグループに無作為に割り付けられる。

ePsycHeartは、装着型胸部バンド型心拍センサー、スマートウォッチ、アンケートを用いて、生活の質、運動能力、メンタルヘルスをモニターする。

eHealtHeartは、介入グループの患者に対し、身体活動、健康的な食事、記憶力を向上させるゲーム、転倒リスクを軽減するための家庭環境の変更などの行動を取り入れるよう促す。

本試験のもう一つの主な目的は、抗がん剤治療による心臓や血管の損傷リスクが最も高い乳がん女性を早期に特定することである。

次世代シークエンシングなどの最先端技術を駆使して、症状が出る前に、心臓や血管のダメージのシグナルとなる腸内細菌種の変化を突き止める。

さらに、人工知能を使って心臓の画像を分析し、心臓障害の可能性を予測する。

「CARDIOCAREは、抗がん剤治療による心臓血管への副作用を早期に検出し、患者の精神的および肉体的健康を改善するのに役立つデジタルツールを提供することで、乳がんを患う高齢女性の肉体的および精神的健康の改善に対して順調に進んでいる」と、Fotiadis教授は述べた。

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