小児がん治療中の心臓合併症予防に役立つ世界初のガイドライン
英語オリジナル版はこちらがん治療を受ける小児の心臓合併症予防と治療に役立つ世界初の国際的な臨床ガイドラインが作成された。
JACC: Advances誌に掲載された本ガイドラインは、新しい分子標的療法、免疫療法、化学療法、放射線療法によるがん治療を受けている小児患者の心血管疾患の評価、スクリーニング、フォローアップを網羅している。
Murdoch Children’s Research Instituteの研究者らが主導する専門家の合意により、心臓の検査を受けるべき高リスクのがん患者群の定義、治療中のスクリーニングと監視方法の標準化、脆弱な若い心臓を守るための推奨事項が提示された。
Murdoch Children’s Research InstituteのRachel Conyers准教授は、治療中の心臓への副作用の悪化を監視する国際的なガイドラインは成人患者には存在するが、小児に特化したものはないと述べた。
Conyers准教授は、新しい抗がん剤の成功によって、治療中の早い段階、ときには数日以内の心臓への副作用の可能性が高まったため、心臓の健康に対するより緊密な監視、早期のモニタリングが必要になったと述べた。
「小児がんの治療における最近の進歩により、生存率は80%以上となっている。しかし、サバイバーの深刻な健康アウトカムの改善は、依然として重要かつ不可欠であり、予防が重要である」と述べた。
「小児がんサバイバーの死因は、がん再発に次いで心臓合併症が上位を占めている。的確医療を含む最新の治療法は、心臓の問題を引き起こす可能性のある薬剤を拡大してきた」。
小児がんサバイバーは、一般の人に比べて心不全になる可能性が15倍、心臓病になる可能性が8倍高い。
Conyers准教授は、本ガイドラインは、抗がん剤が子どもの心臓に与える有害な影響を大幅に軽減するために、臨床医にとって不可欠なツールになるだろうと述べている。
「新しい治療薬が高血圧、異常心拍、心不全などの心臓合併症を早期に引き起こすにもかかわらず、これまでは治療中の小児患者の監視やフォローアップのための明確なアプローチがなかったため、本ガイドラインは腫瘍循環器学分野にとって大きな前進となる」と述べている。
オーストラリアとニュージーランドの専門家グループは、小児および成人の循環器医と小児腫瘍医で構成され、腫瘍循環器治療の11の領域についてDelphiコンセンサスアプローチを実施した。Australian New Zealand Children’s Oncology Groupは、本ガイドラインが小児腫瘍患者を治療する三次医療機関や腫瘍循環器診療を開始する施設にとって有用であるとして、本研究を支持した。