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運動は化学療法中および化学療法後の心肺機能を改善する

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JACC: CardioOncology誌に掲載された研究によれば、化学療法中、身体運動介入は安全で、長期的に心肺機能を向上させ、がん治療による副作用の一部を緩和する。

化学療法中に運動が不可能な場合は、その後の運動プログラムへの参加で同レベルの機能を回復させることができる。

最大酸素摂取量(VO2peak)で測定される心肺機能は、心血管の健康状態を予測する最も重要な独立した指標の1つとみなされている。

がん治療中は、VO2peakが最大で25%低下する。

がん治療では、心肺機能低下、疲労感の増加、心血管疾患有病率の増加など、患者の健康関連QOL(HRQoL)を損なう副作用が生じることがよくある。

身体活動はこれらのリスクを軽減することが証明されている。

運動療法は、心肺機能向上、VO2peak改善、心血管疾患有病率、がん死亡率、総死亡率の低下と関連している。

「がん患者に対する運動の有益性は広く認められている。しかし、がん患者における長期的な心肺機能向上のための運動介入の最適なタイミングに関するエビデンスは十分ではない」と、本試験のシニアオーサーで、オランダのUniversity Medical Center Groningen腫瘍内科の医師であるAnnemiek M E Walenkamp氏は述べた。

ACT試験では、化学療法中と治療後の運動介入を比較し、長期的な心肺機能向上に関する有効性を検討した。

最近、乳がん、大腸がん、精巣がん、B細胞性非ホジキンリンパ腫と診断され、根治的化学療法を受ける予定の成人患者が対象であった。

本試験の参加者は、2013年2月~2018年11月にかけて、化学療法中または化学療法後に開始される24週間の運動介入に無作為に割り付けられた。

運動の種類には、サイクリングマシンでの中程度から激しい運動、ウエイトマシンとフリーウエイトを使用した抵抗トレーニング、およびバドミントンが含まれる。

主要評価項目は、介入から1年後のVO2peakの差であった。

副次評価項目は、化学療法および介入終了後のすべての時点でのVO2peak、筋力、HRQoL、疲労、身体活動、自己効力感であった。

その結果、化学療法直後、治療中に運動療法を開始したグループは、疲労感が少なく身体活動が活発で、VO2peak、HRQoL、筋力低下が少なかったと報告された。

化学療法から3ヵ月後、治療後に運動を始めたグループは、治療中に運動したグループと同様の値を示した。

両群とも、運動介入を終えた1年後には、時期に関係なく、心肺機能がベースラインに戻っていた。

「これらの結果は、身体運動の最適なタイミングは化学療法中であることを示唆している。しかし、化学療法中に運動できない場合、化学療法後の身体運動プログラム開始は実行可能な選択肢である」と、Walenkamp氏は述べている。「われわれは、この知見が、抗がん剤治療中に運動介入を行うよう医療提供者が患者を指導する動機となることを望む。」

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