がん患者には珍しくない心臓弁膜症だが、インターベンションで生存率が向上
英語オリジナル版はこちら心血管イメージングで特定される心臓弁膜症は、がん患者にはありふれた疾患である。
心臓弁膜症に対するインターベンション治療で、生存率は有意に改善した。
これらの知見は、European Society of Cardiology(ESC)の分科会であるEuropean Association of Cardiovascular Imaging(EACVI)の旗艦学会である「EACVI 2025」で発表された。
治療の進歩により、がん患者の生存率は向上している。
患者の生存期間が延びるにつれ、がん治療成功後に心臓弁膜症を発症するリスクが高まっている。
さらに、特定のがん治療が心血管毒性を引き起こし、がんサバイバーの早期死亡につながる可能性があることは、現在、広く認識されている。
「がん治療成功後の高齢患者において、心血管合併症は重要性が増している。例えば、アントラサイクリン系化学療法が心不全を引き起こし、三尖弁逆流症や僧帽弁逆流症を招く可能性はすでに知られている」と、研究結果の発表者であるオーストリア・Medical University of ViennaのMaximilian Autherith医師は説明した上で、次のように述べた。「併存する心臓弁膜症を有するがん患者に対する最適な治療計画へ繋がるエビデンスは限られている。例えば、がん患者が非がん患者と同程度に弁膜症治療の恩恵を受けるかどうかといった点である。」CESAR研究は、がん患者における心臓弁膜症の有病率を明らかにし、弁膜症治療の頻度を説明し、インターベンションが生存率に与える影響を評価することを目的とした。
本観察コホート研究では、三次医療機関で12ヵ月以内に経胸壁心エコー検査を受け、がんと確定診断された成人患者10,353例が対象となった。
対象集団の平均年齢は66.2歳で、約半数(46.6%)が女性であった。
研究者らは、患者の7.2%が重度の心臓弁膜症を有し、最も高頻度だったのは三尖弁逆流症(3.7%)、僧帽弁逆流症(2.6%)、大動脈弁狭窄症(2.2%)であったことを発見した。
年齢、性別、心臓バイオマーカー値、腎機能、左室機能を調整後、重度の心臓弁膜症は死亡率増加(調整ハザード比[HR]1.46、95%信頼区間[CI]1.25-1.71)、および心血管死(調整HR 2.62、95% CI 2.00-3.43)の独立した予測因子であることが判明した。
重度の心臓弁膜症を有する患者では、21.5%が外科的治療またはカテーテル治療を受けていた。
特筆すべきは、弁膜症治療は、治療しない場合と比較して生存率改善の独立した関連因子であり、追跡期間中央値23ヵ月後に、死亡率が72%減少した(調整HR 0.28、95% CI 0.09-0.87)。
Autherith医師は、結果を総括し次のように述べた。「心エコー検査を受けたこの特定のがん患者集団では、重度の心臓弁膜症が広く認められた。心臓弁膜症のインターベンション治療を受けた患者はごく一部であったが、インターベンションが行われた場合には生存率への影響が顕著であった。われわれの知見は、がん患者に対する定期的な心血管モニタリングの必要性を強調するとともに、この集団において心臓弁膜症に対するインターベンションを控える必要はないことを示唆している。次のステップには、がんに対するさまざまな投与薬と実施したインターベンション方法のさらなる分析が含まれる。」
