大腸がんにおける心臓突然死のリスクは低下しているが、格差は依然として存在
英語オリジナル版はこちら「性別、人種、地域による持続的な格差によって、個別の腫瘍循環器学的監視、公平な予防施策、集中した公衆衛生的介入の重要性が浮き彫りになっている。」
「Temporal trends and disparities in sudden cardiac death among colorectal cancer patients: A nationwide study」と題する新しい研究論文が、Oncoscience 誌第12巻に掲載された。
本研究では、筆頭著者であるMagnolia Regional Health CentreのEric Sanji氏を中心に、米国の大腸がん患者における心臓突然死の発生頻度を調査した。
過去20年間で全体的なリスクは低下したものの、人種、性別、地理的位置に基づく格差は依然として存在することが判明した。
これらの知見は、がん患者に対するより個別化された心臓モニタリングとケア戦略の必要性を示唆している。
大腸がんは世界中で、がん関連死の最も一般的な原因の1つである。
検診と治療の進歩により生存割合は向上したが、多くの長期サバイバーは依然として他の健康リスク、特に心臓に関連するリスクに直面している。
心臓突然死は、高齢化、既存の心臓疾患、がん治療の副作用といった複合的な影響により、本集団において新たな懸念事項となっている。
この問題を探るため、研究者らはCDC WONDER Multiple Cause of Deathデータベースを使用して、1999年から2020年までの米国の死亡記録を分析した。
研究者らは大腸がん患者における心臓突然死の20年以上にわたる傾向を研究し、年齢、性別、人種・民族、州ごとの発生率を分析した。
「大腸がんによる死亡はICD-10コードC18-C21を用いて特定され、心臓突然死はICD-10コードI46.1、I46.9、R96.0、I49.0、I21-I24を用いて定義された。」
研究によると、大腸がん患者における心臓突然死の年齢調整死亡割合は、1999年の10万人当たり1.2人から、2020年には0.5人に減少した。
この減少は、がん治療と心臓病予防の両方の改善を反映している。
しかし、すべてのグループが等しく恩恵を受けたわけではない。
黒人およびアジア系/太平洋諸島系患者は、白人患者よりも一貫して高い心臓突然死による死亡割合を示した。
また、男性患者は女性よりも高いリスクに直面した。
地域別では、ネブラスカ州やバーモント州で粗死亡割合が高く、カリフォルニア州やテキサス州などの人口の多い州では低かった。
心臓突然死の割合が最も高かったのは65歳から84歳の患者群で、この年齢層は複数の心血管リスク因子を有することが多い。
研究者らは、本集団における心臓合併症は、加齢プロセス、併存疾患、致死性不整脈のリスクを高めることが知られているがん治療の心毒性と関連している可能性があることを示唆している。
心臓突然死の全体的な減少傾向は好ましい一方、研究者らは持続的な格差が医療へのアクセスと予防対策における不備を浮き彫りにしていると強調している。
社会経済的格差、医療格差、制度上の障壁がこれらの結果の一因となっている可能性がある。
本研究はまた、公平な腫瘍循環器学的戦略、がん治療中および治療後の監視体制の改善、十分な医療を受けられない集団が直面する特定のリスクに対処する公衆衛生的介入の必要性を裏づけている。
全体として、本研究は拡大しつつある腫瘍循環器学の分野に貢献し、特に高齢者や脆弱な集団において、長期的ながん治療計画に心血管ケアを組み込むことの重要性を強調している。
