前立腺がん診断後の生存期間延長は、より健康に良い脂肪の摂取と関連
英語オリジナル版はこちら転移のない前立腺がんと診断された男性は、一般的に、診断後の長期生存が見込まれる。
しかし、心血管疾患やその他のがんは、サバイバーの長期的な健康にとって依然として重大な脅威となっており、多くのサバイバーにとって、「より長く、より健康的な人生を送るためには、何ができるか」という重要な問いを投げかけている。
JAMA Network Open誌に掲載された新研究によると、食事の際に摂取する脂肪の種類や供給源によって、違いが生じる可能性があることが示唆されている。
Research Institute of the McGill University Health Centre(The Institute)とHarvard T. H. Chan School of Public Healthの研究者らが共同で主導した本研究では、転移のない前立腺がんの男性約5,000例を対象に、30年以上にわたる収集データをもとに、中央値12.8年間にわたり追跡調査を行った。
研究者らは、診断後に摂取した脂肪の種類や摂取源が、長期生存と関連していることを明らかにした。
飽和脂肪摂取量が多いこと、および動物性脂肪(飽和脂肪の主な食事供給源)摂取量が多いことは、全死因死亡率の上昇と関連していた。
こうした関連性は、主に心血管疾患による死亡や、それより程度は低いものの、他のがんによる死亡に起因するもので、前立腺がんそのものによるものではなかった。
「われわれの研究結果は、診断後の食事がサバイバーシップケアにおいて変更可能な要素の一つであり、原発腫瘍の制御にとどまらず、視野を広げるものであることを示唆している。心血管や全身の健康を守ることは、前立腺がん治療において不可欠な要素である。特に、一部の治療法は代謝や心血管の健康に影響を及ぼす可能性がある」と、Harvard Chan Schoolの疫学教授であり、共同シニアオーサーであるLorelei Mucci氏は述べた。
前立腺がんサバイバーの人口が増え続けていることを考えると、本研究結果は特に重要な意味をもつ。
カナダでは約30万人の男性が前立腺がんと共存し、米国では350万人の前立腺がんサバイバーが生活している。したがって、診断後の長期的な健康支援は、前立腺がん治療においてますます重要な側面となっている。
脂肪の摂取源と種類は重要
追跡調査期間中、参加者3,040例が死亡した。研究者らの分析によると、飽和脂肪摂取量が最も多かった男性は、摂取量が最も少なかった男性に比べ、追跡調査期間中の死亡率が24%高かった。
飽和脂肪摂取量が最も多かった男性群の10年間の推定死亡リスクは26.4%、摂取量が最も少ない男性群では23.4%であり、この差は10年間で男性100例あたり約3例の死亡に相当する。
研究者らはまた、総摂取カロリーを同程度に維持しつつ、特定の食事による脂肪をより健康的な代替品に置き換えた場合の潜在的な影響を推定するために、統計モデルを用いた。
1日の摂取カロリーの約10%を動物性脂肪から植物性脂肪に置き換えると、あらゆる死因による死亡率が16%低下した。
同様に、1日の摂取カロリーのうち飽和脂肪由来の約5%を単不飽和脂肪に置き換えると、死亡率が20%低下した。
「重要なのは、単に『脂肪摂取量を減らす』ことだけではない。むしろ、脂肪の種類と摂取源が重要なようである。動物性脂肪や飽和脂肪の一部を植物性脂肪や不飽和脂肪に置き換えることで、前立腺がん診断後の長期的健康支援に役立つ可能性がある」と、The InstituteのCancer Research Programmeで科学者を務め、McGill Universityの外科准教授でもある、共同シニアオーサーのDavid P. Labbé氏は述べた。
本研究結果は、がん患者以外を対象とした研究や、American Heart Associationの食事に関する推奨事項とも一致している。
しかし、著者らは、本研究は関連性を示しているに過ぎず、因果関係を立証するものではないと強調した。
本調査結果は、厳しい食事制限を実践したり、動物性食品を完全に排除したりすることを推奨していると解釈すべきではない。
「重要なポイントは、シンプルな代替を優先すること。つまり、動物性脂肪や飽和脂肪を多く含む食品の代わりに、オリーブオイル、ナッツ、種子、アボカド、その他の植物性食品をより頻繁に選ぶことである」と、Harvard Chan Schoolの栄養学・疫学教授で、共同シニアオーサーであるEdward Giovannucci氏は述べた。
30年以上にわたる大規模前向き試験
本研究では、Health Professionals Follow-Up Studyのデータが用いられた。これは1986年に開始された長期にわたる前向き研究であり、全米各地の5万人以上の男性医療従事者を追跡調査している。
研究者らは、1986年~2019年1月の間に転移のない前立腺がんと診断された参加者4,884例を特定した。その大半は白人であり、診断時年齢は約70歳であった。
参加者は、詳細かつ妥当性が検証された食物摂取頻度調査票に4年ごとに回答し、2022年12月まで追跡調査が行われた。
研究者らは、参加者の飽和脂肪、単不飽和脂肪、多価不飽和脂肪、トランス脂肪、動物性脂肪、植物性脂肪摂取量が、総死亡率や特定の死因と関連しているかどうかを調査した。
本分析では、年齢、腫瘍の病期や悪性度、治療、喫煙、身体活動、体重、その他の健康状態など、生存率に影響を及ぼしうる多くの要因が考慮された。
追跡期間中に発生した3,040例の死亡のうち、803例が心血管疾患、499例が前立腺がん以外のがん、441例が前立腺がんによるものであった。
前立腺がん治療における個別化栄養の実現に向けて
本研究の参加者は主に米国の白人男性であったため、研究者らは、より多様な集団においても同様の結果が得られるかどうかを検証したいと考えている。
さらに、研究チームは、前立腺がん診断後の食事の役割についてさらに調査を進め、特定の食品や個々の脂肪酸、より広範な食事パターンについて検討するほか、脂肪摂取と健康転帰との関連性が、患者が受ける治療によって異なるかどうかについても検証する予定である。
「最終的には、前立腺がん治療において、栄養管理をより精密でエビデンスに基づいた要素とし、受けた治療、腫瘍生物学的特性、そして各患者の心血管系および代謝系の健康状態を考慮に入れたものにすることが目標である」と、Labbé氏は述べた。
